スプリント中のプルリクエストのレビューからマージまでの期間が長いという課題がチームで浮上しました。この問題を解決するために、チーム内でWIP(Work In Progress)の制限を導入しました。本記事では、WIP制限の実践とその効果についてまとめます。
課題の背景
現在の状況
- 各メンバーがスプリントのタスクを個別に実装し、次のタスクに進む形式。
- 作成されたプルリクエスト(PR)はデイリースクラムで確認後、レビューを実施。
- チームルール:
- プルリクエストはチーム内の2人以上にレビューされる必要がある。
- 複数のリポジトリで並行して作業を実施。
問題点
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複数のレビュワー間でコメントのやりとりが発生し、待機時間が長くなる。
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1人のレビュワーが対応中、他のレビュワーが待機することでレビュー全体が遅延。
WIP制限の導入
目的
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進行中のタスク数を制限し、完了に集中する。
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ボトルネックを減らし、スムーズなワークフローを実現。
導入方法
- 進行中のバックログ項目数を明示的に制限
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初期設定として、チームメンバー数が3人に対しWIP制限を「5項目まで」に設定。
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各スプリントで状況を監視し、必要に応じて調整。
- 毎日のデイリースクラムで確認
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進行中のタスクが制限を超えた場合は、他のタスクを中断し制限内に収める。
- スクラムボードを活用して見える化
- チーム全員がタスクの進行状況を把握できるよう、デジタルまたは物理的なボードを使用。自分のところではデジタルで対応
WIP制限の狙い
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チームの負荷軽減
未完了の仕事の負担が軽減され、チームメンバーのストレスを削減。
完了タスクに集中することで、仕事への満足度が向上。 -
作業品質の向上
少ないタスクに集中することで、全体の作業品質が向上。
実践における注意点
- 監視と調整
- 各スプリント終了時に、振り返りでWIP制限が適切かを確認。
- タスクが迅速に完了していなければ制限値を見直す。
- タスク管理の自律性向上
- メンバーは、タスクを引き受ける前に、既存の作業を完了させる文化を徹底。
- 目標の維持
- 同時に多くのタスクをこなすことを目指すのではなく、1つまたは2つのタスクに集中する。
結論
WIP制限の導入は、スクラムチームの効率性、信頼性、士気向上に大きく貢献します。この取り組みを継続的に調整しながら進めることで、チーム全体のパフォーマンスと作業品質が向上します。
小さな調整が大きな効果を生むWIP管理を、ぜひチームで実践してみてください!
- 同時に多くのタスクをこなすことを目指すのではなく、1つまたは2つのタスクに集中する。